2004年6月28日月曜日

キャラメル

突然、影が立ち上がって僕の首を絞める。
「や、やめ…いま……や……る」
ようやく影から解放されると、僕は激しくむせた。全く容赦のない影だ。
僕はポケットからキャラメルを取り出して影に与える。
難しいことではない。影の口元のあたりにキャラメルを落としてやればいい。
地面に落ちたキャラメルは、少し柔らかくなり、スッと吸い込まれるように消えた。
キャラメルがほしくなる度に影は僕の首を絞める。
「首を絞めるのだけは勘弁してくれよ。僕が死んだらキャラメルを食べられなくなる
んだぞ。ま、その前におまえも消えるか」
フンッと影が鼻息で返事をした、ような気がした。
やれやれ、残りのキャラメル、あと一つだよ。買っておかなくちゃ。