「あなたは、あなたの影があなたの寝ている間、何をしているかご存知ですか?」
と伯母は言った。
「知らない」
ぼくは伯母の発する「あなた」という音が嫌いだった。
「影は毎晩あなたと一緒に寝ているわけではありません。満月の晩、影たちは砂浜に集まり、月明かりを浴びて踊るのです」
ぼくはまったく信じなかった。伯母の話はいつも悪い夢のようで気色悪い。
その四日後の真夜中、ぼくはぼくの影だけがないのに気づいた。
部屋には明かりがついており、ぼく以外の物の影は確かに見える。
伯母の話を思い出し、外に出た。満月が眩しかった。
いまごろ楽しく踊っているのだろうか。