2004年6月26日土曜日

影踏み

僕は彼女の影ばかり見ている。
活発でよく気がつく彼女は、男女関係なくクラスで人気だ。
秘かに想いを寄せているヤツがいるのを知っているし、年下の女の子からプレゼント
を貰っているのも見たことがある。
なのに、どうしたわけか、彼女の影はいつも揺らめいて儚げなのだ。
僕は、ドキリとした。いや、ギョッとした、というべきかもしれない。
それ以来、彼女の影から目が離せない。
「ねぇ?Q君、最近下ばっかり見てるよ?どうしたの?」
ほら、もう彼女は僕の様子に気がついている。
僕は、影になりたい。影になってあの子の影に近づきたい。
「どうして震えているの?」と聞いて、そっと肩を抱き寄せたい。
いまのままじゃ、ちょっと踏んでみることしかできない。
それは、なんだかイケナイことのような気がして、いつも僕は後悔するんだ。