2003年10月27日月曜日

鎮める

パニックに陥る私を落ち着かせることができるのは、時間だけだと思っていた。
彼女は細い腕に似合わない力強さでグッと私を引き寄せると
額を私のおでこに当てた。
青い風がすうっと流れた。
彼女はいつでもそうしてくれた。たとえ町中であろうと。
「おでこのキス」と笑う彼女の額には深い皺がある。