レオナルド・ションヴォリ氏はじいさんだ。
どのくらいじいさんかというと、年がわからないくらいのじいさんだ。
「ほれ、モンドくん」
「はい。博士」
主水と書いてモンドと読む。
ションヴォリ氏は漢字が書けないのでカタカナで呼ぶ。
ちなみに主水くんは日本人ではないかもしれない。
「ほれ、モンドくん」
「はい。博士」
ションヴォリ氏を「博士」と呼ぶのは主水くんだけである。
ションヴォリ氏は発明家でも医者でも教授でもないし、過去にそうであったこともない。
単なるじいさんで、だいぶ前からじいさんで、その前がどうだったかは、ションヴォリ氏もわからない。