「はじめまして。あなたのファンになって一カ月が過ぎました。あなたの声を聞き、姿を見て私は衝撃をうけました。こんなにときめいたのはうまれて初めてです。一カ月経ってますますあなたの魅力に取り付かれています。どうかこれからも素敵なあなたでいて下さい」
ファンレターなんて初めてだ。
素敵なあなた、だってさ。なかなか気分がいいな……。
舞い上がりそうになった時、胃がギュッと握られた。
思い当たることがある。
どこからともなく感じる射るような視線、しばしばかかってくる無言電話。
大体、ぼくは「ファンレター」をもらうような立場ではないのだ。
このファンレター、なにかがおかしい。絶対に変だ。
その夜、ぼくは引っ越しを決めた。