ポストを開けると見事な梅の実がひとつ転がっていた。
「近くに梅の木なんてあったっけ?」
ぼくは梅の実を持って歩きだした。
入ったことのない小道へ足が向う。
「この青梅が道案内してくれてるんだな」
握り締めた梅がヒヤリとした。
着いた所は家から数分も離れていなかった。
造成を逃れたのが不思議なくらい、いい土地だ。
その草むらに立派な梅の木が立っていた。
圧倒される光景だった。
「梅干し、作らなきゃ」
ぼくは確信した。梅干しなど作ったこともないのに。
あれから毎年梅の実の便りがくる。
そして、ぼくは梅干しを作る。