2003年9月19日金曜日

若い二人は語りあう

すっ と目の前を通り過ぎて落ちたのは紙飛行機だった。
拾いあげると細かな文字がびっしりと並んでいる。
見上げれば左手の家の二階からいたずらっぽく笑った青年の顔。大学生だろうか。
「彼女からの手紙、長すぎて」青年は言った。
きっと彼も長い長い手紙を書くのだろう。そうに違いない。
私は彼に紙飛行機を飛ばしかえした。
だが、それは彼の手には帰らず意志を持ったかのように高く高く飛んで行った。