懸恋-keren-
超短編
2003年9月13日土曜日
弔辞
はじめて書いた手紙のことを覚えていますか?わたしのそれは、手紙というものを嫌いになるには十分すぎる出来事でした。ある朝、目の赤い母に命ぜられ私は生まれて初めて手紙を書きました。その日の午後、大勢の黒い人たちの前で私は初めて書いた手紙を読まされました。黒い人たちは手紙を読む私を見て泣き出しました。私はそれを見てムカムカしてきて、しまいには大声でどなりながら読みました。もう手紙なんか書くもんか、と思いながらどなって読みました。
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