懸恋-keren-
超短編
2003年8月21日木曜日
思ひ出
「そういえば、そんなこともあったな!懐かしいなあ」
ピーナツ売りと小父さんが、ぼくの知らない話をしている。
「お、少年、ゴキゲンナナメではないか」
「子供は昔話にヤキモチを妬くもんだ」
「そんなことないよ!……ねぇ、二人はいつ知り合ったの?」
すると二人とも考えこんでしまった。
「さて、そう言われると……参りましたな」
「思い出をさかのぼってみようではないか!一番古い記憶まで」
小父さんの提案で二人は次々と思い出をひっぱり出しはじめた。
夜明けまで語り合ったけど、話はまだ一昨年の六月だ。
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