2003年8月11日月曜日

お月様が三角になった話

夜になるのが待ち遠しかった。
寂しい道化師もめずらしく自分から遊びにきてそわそわしている。
そう、今夜は花火が上がるのだ。
日が沈むのに合わせ、ぼくたちは黒猫の塔のてっぺんに上がった。
特等席だ!
高いのが怖い小父さんも、ぼくや道化師の誘いに負けてやってきた。
ヒュー ドーン
一発目を合図に次々と色とりどりの花火が満月の真下で開く。
小父さんは「ドーン」のたびにビクッとしている。
そしてひときわ大きな花火のひときわ大きな「ドーン」と同時に
真上の満月は三角形になった。
小父さんは、と言うと 気絶していた。