激しくドアを叩く者があった。
「助けてくれ」
飛び込んできたのは流星だった。
「無頼漢に追われている」
と流星は言った。
「無頼漢は、そっちだろう」
そう言うと流星は泣きついてきた。
ぼくは流星を部屋に残し表へ出た。
怖そうな人など見当たらない。
「……だれもいないじゃないか」
ぼくはわざと声に出して言った。
無頼漢と聞いて本当は少し怖かったのだ。
「ニャ」
「やぁ、見かけない顔だね」
木陰から出てきたネコを抱いて部屋へ戻ると流星は叫びながら出ていった。
「おやおや、無頼漢はおまえだったのか?」
ネコはぼくが作ったミルク粥を六皿も平らげた。