2003年8月19日火曜日

辻強盗

‘辻強盗出没! チョコレートの管理は厳重に’
町の至るところに貼り紙が出ている。
ピーナツ売りがいつも出店を広げるビルの壁にも貼ってある。
それがちょうどピーナツ売りの頭の上にくるので
まるで彼が強盗みたいでちょっと笑った。

「笑い事じゃないぞ、少年。これはひょっとすると……」
「ひょっとすると?」
「私かもしれない」
予想もしなかった答えに驚くぼくに構わず小父さんは続けた。
「月が流れる雲に隠れる間、私の記憶は途切れる。
盗まれた物がお菓子ばかりというのも、私ならありうる!」
小父さんなぜか嬉しそう。