懸恋-keren-
超短編
2003年8月10日日曜日
お月様を食べた話
ビスケットのかけらが落ちていたので
拾って食べたら案の定小父さんにコツンとやられた。
「少年、いやしいぞ」
「ゴメンナサイ。でもこのビスケットかたくて・・・」
ぼくは口からビスケットを出した。
小父さんはそれを拾いあげるとひぃっと息を飲んだ。
「おい、飲み込んでないだろうな」
「うん、たぶん」 「これは私の・・・」
「?」
「あー、一部だ。どんな味がした?」
「香ばしくて甘かったよ」
小父さんはなぜか機嫌がよくなって、ハッカ水と本物のビスケットを買ってくれた。
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