2007年6月7日木曜日

暗射地図

部屋には机と椅子が用意されている。
明かりは部屋の角に行灯がひとつ。薄暗いから気をつけて。
机の上には地図が置いてある。何も描かれていない。これが暗射地図だ。
きみは地図に向けて「何か」を射るだけでいい。
「何か」はきみが考えなければならないが、地図に向けて「発射」すれば何でもよろしい。
先日来た少女はダーツの矢を使った。何も持って来なかった青年は、射精していった。
そう、それでも構わない。きみもそうするのかい?好きにすればよい。
発射したものが暗射地図に命中すれば、それは即、きみだけの地図になる。
その地図を頼りにするかどうか、それもまたきみの自由だ。
さあ、着いた。この扉を開けてお入りなさい。

「暗射地図」…白地図の古い呼称。