懸恋-keren-
超短編
2007年1月23日火曜日
虫媒恋
あぁ、とうとう全身に虫が回ってしまった。
こんなに虫が沸くのは、ずいぶん久しぶりな気がする。
湯舟に浸かりながら、身体から溢れ出てくる小さな虫をつまみあげ、しばらく玩んでから湯で流すことを繰り返した。
鎖骨、腋の下、膝の裏、こんなところからも出てくるものだった?
乳房の下、足の指のあいだ、耳たぶのうしろ、そうそう、ここが虫の沸くところ。
リングをした指の先からは夥しい。とくとく、とくとく、と虫が次から次へと出てくる。
いつになくのぼせてしまったのは、長風呂のせい?虫のせい?それとも恋のせい?
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