異様な感触に一度手を引っ込める。
「あった……」
物置の奥から、ヌルリとした海松色のノートをようやく見つけた出した。
生暖かく濡れているような触り心地で、気色が悪い。何年もほったらかしのはずだが、埃はほとんどついていない。
じいさんが言うことは本当だった。
「物置にヌメヌメノートがあるから取ってこい。中は見るなよ」
全く意味がわからないと文句を言いながら、仕方なく物置を漁っていたのだった。
早速じいさんにノートを差し出すと、見たこともないような顔で喜んだ。
「で、それ何?」
「ヌメヌメノート。触るといい気持ちだ」
じいさんは、肌身離さずノートを撫で回している。
オレはその姿を見て自分の顔が歪むのを感じた。、
ノートには、たくさんの裸婦像が描かれているのを、しっかり見たのである。
【海松色C0M0Y50K70】