2005年9月16日金曜日

七ツの星は天に輝く

部屋の中を歩いていた虫を危うく踏み潰すところだった。
逃がしてやろうと拾いあげると、この虫、青い。青いてんとうむしだ。
「ほんとうにてんとうむし?」
「失敬な。確かにナナホシテントウですよ、ぼくは」
「しゃべった」
「これまた失敬な。なんて失礼な人でしょうね、あなたは。私は天色のナナホシテントウ。たいていのナナホシテントウはお天道様の赤い色ですが、時々、天の色が生まれるのです。ぼくのような」
「アマの色……」
「失礼な上に頭の回らない人だな。天。天空ですよ、宇宙ですよ。この美しいぼくの色」
そう言っててんとうむしは、私の手の平から飛び立った。
まったく失礼はどちらやら。

【天色C55M10Y0K0】