懸恋-keren-
超短編
2005年9月13日火曜日
染色
「さあ、こちらへ」と兎が扉を開けると、そこは常磐色の部屋だった。
常磐色の天井と壁、常磐色のソファーと常磐色の
「ここで何をするの?」
「あなたは、ソファーでゆっくり休めばいいのです」
私がソファーに腰を沈めると、足元からじわじわと常磐色になっていった。
黒いスカートも、紅梅色のシャツも常磐色になって、私は部屋に溶け込んだことを知る。
頭では怖いと思いながら、それを上回る心地よさに、私は目を閉じた。
【常磐色C82M0Y80K38】
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