懸恋-keren-
超短編
2005年9月28日水曜日
ヌバタマの独白
漆黒の夜は二百十日続いた。
月も星も電灯もない。
輝くのは夜と瞳だけ。
夜はそれだけでつややかだった。
今晩は最後の漆黒。明日からは、また何事もなかったように月が満ち欠けするのだろう。
ナンナルが長い旅に出ている間、キナリはずいぶん髪が伸びた。
鶸色の瞳も、夜を重ねる毎に黒くなった。
皮肉だね、漆黒の夜が一番似合う娘になったよ。
【漆黒C50M50Y0K100】
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