2005年9月7日水曜日

16歳

初めて出会ったとき彼女は16歳だった。
彼女は空五倍子色の霞を漂わせていた。
「何か辛いことがあったの?」
と聞かずにはいられなかった。若い子には珍し色だから。それが僕の真ん中をひどく悩ませたから。
「そんなことない、です」
遠慮がちな彼女の声に合わせて、空五倍子色が僕の鼻腔をくすぐった。

【空五倍子色…C0M15Y40K50】