「おい、キナリ!何やってるんだ!」
少女は通行人の背中に向けて石を投げつけていた。彼女の手に余るほどの大きな石を。
「あ、ナンナル」
「キナリ、危ないじゃないか。知らない人に石なんかぶつけちゃダメだろう」
「だって、あの人の背中、紫のクモがついてる。大きいの。クモがついてるほうが、危ないんだよ」
「……本当だ。キナリは石をぶつけてあのクモを退治できるのか?」
紫の大蜘蛛、それは流星に狙われている証拠である。放っておくわけにはいかない。
「そうだよ。石、投げていいでしょ?」
「ちょ、ちょっと待て。こっちにしよう」
月は少女に流星の天敵を渡した。
「これ何?こんな小さいのでクモをやっつけられるの?」
「梅の種。流星はこれが大嫌いなんだ!さあ、投げろ!」
「マカセトケ!」
見事、少女の投げた梅の種は紫の大蜘蛛に命中した。