「ナンナル、これなに?」
キナリが差し出したのは、透明で小さな石だった。
ガラスの破片のようにも見えるが、もっと滑らかでもっと冷たい。
「どこで見つけた?」
「あちこちに落ちてる。キレイだから拾ってオルゴールの箱に入れてあるの。でもなんだかわからない。ナンナルは知ってる?」
「ちょっと見せて」
月の手のひらに載せられた石は、まぶしいくらいに輝いた。
「すごい!ナンナルが触ると光るんだ!どうして?」
「キナリ、これは星だよ。」
月は驚く。星はそこらじゅうに落ちているわけではないし、
やすやすと人間の子供に見付かるほどバカではない。
「キナリも光らせたいな」
少女は星を小指でくすぐっている。その方法は、あながち間違っていない。