2004年8月8日日曜日

警告

「一番小さいポケットは開けてはいけません」祖母が贈ってくれた鞄についていた手紙には、そう記されていた。ぼくは鞄をためつ、すがめつ眺める。
「一番小さなポケット……あぁ。これ、か?」
それは鞄の脇についていた。飴玉ひとつ入りそうにない大きさで、その上開けられないように縫い付けられている。これをポケットと呼んでいいものかと思い、笑う。
鞄は通学用に使うことにした。
 使い始めて三年が経ったある日、ポケットを縫い付けていた糸が取れかかっていることに気付いた。何気なく指を突っ込んだぼくは、激痛に悲鳴を上げた。