玄関の鍵を取り出そうと、俺はポケットに手を突っ込んだ。
鍵を差し込む。
入らない。
もう一度差し込むがやっぱりダメだ。
俺はあまり意識せず、再びポケットに手をやり驚いた。
もうひとつ現れた鍵。一つ目とそっくりで、もちろん見慣れた我が家の鍵だ。
その鍵を鍵穴に入れる。
またダメ。
今度は意識してポケットに手を入れた。
三度現れる鍵。しかし、ドアは開かない。
結局、そんなことを繰り返し、十八個目の鍵でようやく家に入ることができた。
十八の鍵をテーブルに無造作に置き、一服していてハタと気付いた。
一体俺はどの鍵を使ってドアを開けたんだ……。