2004年8月13日金曜日

父ちゃんと遊ぼう!

ケンのズボンはビックリ箱だ、と彼のお母さんのアキコさんは思う。
もうじき七歳になるケンくんは毎日ズボンのポケットにおみやげを入れて帰る。
それを翌朝洗濯するアキコさんは、いつも驚きっぱなしだ。
きのうはトカゲの死骸、おとといはセミの抜け殻。
干からびた犬のフンや、果肉のついたままの銀杏が入っていたときには閉口したものだ。
「さぁて、今日は何かな~」
アキコさんはケンくんの半ズボンのポケットを探る。
「あら!」
アキコさんはケンくんを呼んだ。
「これ、どうしたの?」
「きのういっしょにあそんだ子にもらった。オレの名札もあげたんだ。ゆうじょうのしるし、だって」
アキコさんは夫の名前の書かれた名札を持ったまま押し入れをさぐった。
夫のタカシさんの子供のころの品物が入った段ボール箱を引っ張り出す。
「あった、あった。ケン!見てごらん!ほら、ケンの名札だよ」
ケンくんは目を白黒させるばかり。