懸恋-keren-
超短編
2004年8月10日火曜日
ゆらゆら
ぼくはタンスの中をひっくりかえして思案した。
ポケットの中に入るなんて、なかなかできることではない。
慎重に選ばなければ。
ズボンにはみな、四つや五つのポケットがついているし、シャツにも胸ポケットがついているものがある。
全部の服のポケットを勘定すると、三十四あった。
その中からひとつを選ばなければならない。
しかしポケットに入るには、ぼくは少し大きくなりすぎていやしないだろうか。
弟のほうがよさそうだ。
そんな心配をしている暇はない。早く決めよう。
ブルーのシャツか、新しいズボンか……。
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