ある新月の晩(新月の日小父さんは来ない)街をブラブラしていると、空色のワンピースを着せられたのマネキンに話し掛けられた。
「坊や、お月さまと友達なんですって?」
「そうだよ」
「ねぇ?今度お月さまをここに連れてきてちょうだい」
「なんで?」
「アタシもお月さまと仲良くなりたいの」
マネキンは腰に片手をあて斜め上を見上げたまま続けて言った。
「ねぇ、お月さまってどんなタイプが好きなのかしら?坊や、知らない?」
「知らない。じゃあね。おばさん」
「やっだ、お姉さんって呼んでよ」
もちろん、ぼくは無視したさ。