2003年5月18日日曜日

月とシガレット

「小父さん、タバコ喫みなんだね。ぼくも欲しい」
「何を言い出すんだ。コドモが吸うもんじゃないぞ」
{よいではないか、教えてやっても}
「ほらー。だってさぁそのタバコ、タバコじゃないでしょ」
「タバコだ」
「嘘つき。チョコレートの香りがする。昨日はコーヒーだった」

小父さんがしぶしぶ向ったのは、顔の知れた街角のピーナツ売りの所だった。
この男、手品をしながらピーナツを売る。
「やぁ、お月さん。今夜はイチゴにしておいたよ」
と鳩を飛ばしながら言った。
この人が月御用達煙草様筒型香職人だったとは!