懸恋-keren-
超短編
2003年5月12日月曜日
月から出た人
コツンコツン
窓を叩く音がするのでカアテンを開けてみると
ふくろうが言った。
{屋根に上ってごらんなさい}
満月の蓋がパカリと開き
真っ黒な傘を持った人が出てきた。
その人はレンガ色の屋根にするりと降り
「やあ、少年!」
と言った。
そして黒い傘をヒョイと放り投げパチンと指を鳴らすと傘はコウモリになって飛んでいった。
「やあ、少年」
と、その人はもう一度言った。
「今夜は何して遊ぼうか?」
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