エンピツは英断を下した。あの煙突に謁見するのである。
エンピツは出発に合わせて鋭角に削りあげた円錐の頭を輝かせ、遠路を行く。
途中、園児に襟首つかまれて縁談を持ち込まれてもへこたれなかった。
獲物がなければエスカルゴを餌にしてエンゲル係数は下げなかった。
そして、ついに煙突に謁見することが許された。
煙突は言った。
「この世は永遠の絵空事」
エンピツはこの言葉を枝に彫った。
「エレジーだ」とエンピツは思った。
さらにエンピツは栄位を授かった。
エポックメイキングなエンピツは英雄になったのだった。