ケシゴムとケムシが境内でけんかしていた。
ケシゴムはけばけばしい警戒色になり、ケムシは毛穴から煙を吹き出させている。
数日前から続くけんかは激化しており
ケシゴムは顔にケムシは足にひどい怪我をしていた。
けんかの原因は一人の傾城だった。実は既に彼女は源五郎に請け出されていた。
けれどもケシゴムもケムシもそれを知らない。
このけんかは、もはや形骸化しており、寺を荒らした二人には検非違使による刑罰しか待っていないのだ。
それでも激戦は続く。
いったいいつケリがつくのか、この狷介なケシゴムと外道ケムシの懸想決闘。