懸恋-keren-
超短編
2003年2月8日土曜日
き
消えた記憶を取り戻す旅に出た生真面目なキクラゲは傷を負って、義賊のキリンが経営する喫茶店に寄宿していた。
キクラゲは気弱になっていた。
「奇跡でも起きなければ私の記憶は戻らない」
「キクラゲ、きっときみの記憶は戻る。希望を持とう」
キツツキが切手のない手紙を運んできた。
「キクラゲ、吉報だ。おまえはキャラメルを食べて倒れたという情報だよ」
そこへ客の吸血鬼がやってきて牙を剥いて言った。
「キャラメルの解毒剤はキクラゲで作ったキャンディーだ」
あぁ、気の毒なキクラゲ、己を切り刻む。
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