懸恋-keren-
超短編
2003年2月2日日曜日
い
田舎育ちのイナゴ曰く
「いつかインドへ行ってみたい」
「いっそのこと今すぐ行けば?」
いい加減なことを言うはイナ背なイモムシ。
「いいね」
言うが早いかイナゴは一足飛びで異国に行ってしまった。
あれから幾年月、イナゴは未だ帰らず、イモムシは慰霊碑を建てた。
「一本気のイナゴよ、きみは何処に眠るのか。イナゴよ、きみは勇ましかった」
いみじくも一部始終眺めていたのが威風堂々のイヌ。
イヌはいじらしいイモムシを見つめて溜め息ついた。
イナゴは一尺先の石の上で稲荷寿司を食べていると、いずくんぞ教えん。
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