2003年1月26日日曜日

月の上で寝た話

「すごい写真が撮れたんだ」
と友人が見せてくれたのは、下弦の三日月に寝ている人影が写っているものだった。
「月の上に影があるのに気付いて望遠で撮ってみたら……これだよ。本当の人間が寝てるんだったらすごいぜ?なあ、月って寝心地いいのかなぁ?」
興奮している彼に私は訊ねた。
「……これ、いつ撮ったんだ?」
「えーと一週間前だな」
やっぱり…。お月さまとしこたま飲んで記憶がない日だ。私は友に言った。
「それ、本物の人間だよ」
混乱している友を横目に、何にも覚えてないのがやけに悔しかった。