懸恋-keren-
超短編
2003年1月5日日曜日
お月様を食べた話
黄色い飴玉を買った。缶に入ったドロップでレモン味のだ。
缶の残りが少なくなってきたころ味のおかしい飴があった。
レモン味どころか甘くも酸っぱくもなく、ガサガサしていた。
飴が傷むはずがないと思つつ、あまりまずいので吐き出して紙にくるんで屑籠に投げてしまった。
試しにもうひとつ舐めてみたが、こちらは全くおかしなところがなくますます不可解なのだった。
その夜、随分疲れた顔のお月さまに
「まずくて悪かったですね」
と言われたのでアァあれは月であったか、と了解した。
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