いつもより強い色ばかり作っていることに気がついたのはウサギだった。
「妙な色だな、悪くはないけど」と。
赤、青緑……それもずいぶん濃い。私はそんな色を四回作ってから、やっといつもの色を取り戻した。
ウサギは「あ、戻ってきた」と呟いた。
「疲れてたのか?」とも呟いた。
たまにはこんな色も出るのだ、私でも。こんな色が出るなら、時々疲れるのも悪くない。
手を絵の具で汚した後は、ずいぶんすっきりした。
となり町の図書館へは、電車で三駅、徒歩十五分。
初めて行くのに、地図を持っていない。
けれど、心配はいらなかった。駅を降りてからの道のりは、鶏が案内してくれた。
鶏は、帰りも待っていてくれた。行きとは違うルートで、桜の綺麗な道を通る。散りゆく桜は好きだ。
「お腹が空いたなあ」と呟いたら、鶏塩ラーメンの美味しいお店を教えてくれた。
折りたたみ傘が旅に出たいと騒ぐ。風が強いせいだろうか。新しい傘に嫉妬しているのかもしれない。
私は必死に傘を持つ。でも、心のどこかで、傘のしたいようにすればよいじゃないか、と思っている。
そんな瞬間にいっそう強い風が吹き、傘はおちょこになってしまう。
それでも私にはこの傘が必要なのだ。電車に乗る度、屋内に入る度、私は折り畳み傘を丁寧に畳み、カバーを着ける。
畳まれた傘は少し泣く。