懸恋-keren-
超短編
2009年4月10日金曜日
人魚の火遊び
右の眼窩に火灯シ海月を棲ませている、人魚の娘がいる。
海月が火を灯すと、身体をくねらせては下半身の鱗に無数の小さな炎を映し、左眼でうっとりと見惚れる。
一度でよいから、揺らめく炎に触れてみたい。
細い指を右の眼窩に近付けると火灯シ海月がひどく暴れるから、娘の右顔面は火傷で爛れている。
(139字)
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