懸恋-keren-
超短編
2007年5月12日土曜日
五月十二日 逃げる帽子
帽子が風に飛ばされた。
ここぞとばかりに、帽子は地面をボールのように転がった。そんなによく転がるのは野球帽だからか。
わたしはおたおたと追い掛ける。帽子はけたけたと笑いながら転がる。
ようやく捕まえた。
「どうして逃げるんだよう」
「鬼ごっこ、してみたかったの」
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