たっぷりと入った水菜をかき分ける。美しい湖に潜っているような心持ち。水菜はゆらゆら揺れる水草みたい。ゆれる水草に隠れる魚……もとい、鶏皮を見つけたら、水菜と一緒に箸で摘んで食べる。おいしい。水菜が少なくなって、湖の様子が変わる。
そんな空想をしながら夢中でスープを食べていたら、お母さんに「また何か考えてるでしょ?」って言われた。お母さんいわく、空想してる時の顔はすぐわかるって。
「だって、スープがきれいだったんだもん」って言ったら、笑った。そんなお母さんも、なんだかやけに真剣な顔でスープを覗きこんでいる。私もこんな顔してたのかな、と思ったらおかしくなってゲラゲラ笑った。