冬の間、畑は何を思っているのだろうか。土は冷え、固くなる。時には雪が積もる。畑はじっと耐え春を待つのか、それとも眠りこけているのか。
春の野菜を食べるとき、そんなことを考えてしまう。難しい顔してミネストローネを食べている私を、祖母は「すべてわかっている」といった風情で見ている。「おばあちゃんも昔は同じようなことを考えていたよ」と、その目は言っている。
「いつかは私もおばあちゃんみたいにおいしいお野菜と、おいしいスープが作れるようになるかな?」
と言ったら、「畑の土に聞いてみたら?」と、窓の外の畑を眺めながら祖母は笑った。やっぱりおばあちゃんはお見通しのようだ。