2006年11月14日火曜日

そらもよう

そら豆を茹でていると、鼻をヒクヒクさせながらウサギがやってきた。
「そら豆の正体を知っているか?」
とウサギが言う。
「正体って……さやが空に向かって伸びるんじゃなかったっけ?」
フフンとウサギは鼻で笑う。
「そら豆は宇宙だ。命はそら豆に還る」
そう言ってウサギは茹で上がったばかりのそら豆の皮を向き、噛って見せた。
そこには、小さな闇があった。
「覗き過ぎと吸い込まれるぞ」
言うが早いが、蝿が一匹、そら豆に消えた。