懸恋-keren-
超短編
2006年10月4日水曜日
何でもありの実
午後七時「梨が食べたい」と蟻がやってきた。
ともかく蟻を居間へ通し(踏み潰さないかと冷や冷やした)梨を出した。
一体どうやって梨を食べるのかと思っていると蟻は小さなストローを梨に突き刺してチウチウと吸いはじめた。
蟻の吸引力は強く、六時間後には梨はカスカスになっていた。
とはいえ、六時間も蟻が梨を吸う様子を夢中で見ていた私は、食事をするのも忘れ、すっかり寝不足だ。
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