懸恋-keren-
超短編
2006年10月17日火曜日
パセリ漏れ
台所仕事をしていると、天井からパセリのみじん切りがハラハラと落ちてきた。
「またか」
溜め息をつきながらも、ちょっとにやけている自分に気付く。
上の階に行ってチャイムを押す。返事も待たずにドアを開けて中に入る。途端にパセリの香りが強く鼻孔を刺激する。
「すいませーん! パセリが漏れてますよ~」
台所ではパセリのみじん切りに埋もれた酒井さんがいた。
わたしは、パセリ塗れの酒井さんを見るのが好きだ。
そして、しょげている酒井さんをパタパタと叩いてパセリを落とすのも好きだ。
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