懸恋-keren-
超短編
2006年10月3日火曜日
滴るピーマン
白い皿にのったピーマンにそっと指を這わせていると、つやつやとした表面は萎びてきた。
それでも構わず指で撫でる。上から下へ、凹凸を確かめながら。
次第にピーマンは震えだし、ヒビが入り、中から汁が滲み出してきた。
私はその汁を吸うために、ヒビに口付ける。
このやり方でなければ、私はピーマンを食べることができないのだ。
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