懸恋-keren-
超短編
2005年2月7日月曜日
だからぼくはタマゴが嫌い
ママは、タマゴを買ってくるとペンで顔を書く。
ママにはタマゴの名前がわかるらしい。
「あなたはタカシ。きみはエリオット、あなたは…?そう、マナミね」
だから冷蔵庫には近付けない。
料理をするときは「さ、カオリ、マユミ、マコト。あなたたちはおいしいオムレツになるのよ。協力してね」と語りかけながら割る。生ゴミ入れには、砕けた「カオリ」たちの顔が。だから流しには近付けない。
テーブルについたぼくにママが言う。
「今日のオムレツはカオリとマユミとマコトなの。たくさん召し上がれ」
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