弟は石を拾ってくるのが好きで、毎日のように石を抱えて帰ってくる。
そして持ち帰った石のスバラシサを家族に語って聞かせるのだが、確かになんともいえぬ味わいがある石が多い。
私もたまに弟の真似をして道端に目をやりながら歩いてみるのだが、なかなか弟のようにはいかない。あれはあれで見る目があるのね、と私は感心する。
ただ困ったことに弟が持ち帰る石の三分の一は、何物かの卵で、いつのまにか魑魅魍魎の類いが家の中を跋扈しているのだ。
それらは魑魅魍魎としか言いようがない、つまりは妖怪のようなものなのだが
父も母も弟も気にする様子がなく
こんなお化け屋敷では友達が呼べないと悩んでいるのは、私くらいらしい。