『スターダスト』で見知らぬ男に声をかけられた。
「ドーナツの穴に入ったことはありますか?」
彼は物静かな口調で問うてきたが
私は応えようがなくて黙っていた。
「あれは、素晴らしい世界の入り口です。そこは甘く切ない香で満ちていました。人々はみな笑顔です。夢のような光景が広がっていました。そして空には青い宝石のような地球!」
段々芝居掛かってきた。
「ああ!誰もが心ときめく世界!あなたもきっと行けるはず!ラララ ワンダフルワールド!」
最後は歌いながら去っていった。
それ以来、ドーナツが食べられない。