懸恋-keren-
超短編
2002年12月15日日曜日
HOLD UP
「手を挙げろ!」
小さな通りに入ると待ち伏せしていたらしいソイツは私に銃を向けた。
ソイツの気迫に負けて私は素直に両手を挙げた。
私の腰にプラスチック銃を突き付けてソイツは言った。
「ボクをお月さまのところに連れていけ」
やれやれ
「小僧、お月さまに会ってどうするんだい?」
「お願い事をするんだ!」
「どんな?」
「おじさんには内緒だよ。お月さまにしか言わないもん」
いくら私でも内緒にされては何もできないよ。
子供の頑固は月をも悩ます。
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