真冬の真夜中の散歩に出掛けるにはちょっとした決心がいるものだ。
第一に、この暖かい部屋で、これから冷たい風の中に出ていくことを思うのは苦しみでしかない。
私は大の寒がりなのだ。
そして、夕食を済ませた後に外套や襟巻や手袋を身に付けるのは誠に億劫である。
それでも散歩に行くには訳がある。
夜でなければ会えない旧い友人と景色があるのだ。
だれだって大切な人に会うのなら多少の無理は厭わないだろう?私もそうだ。
しかし、今日のように雪が降った日は用心しなければ。
子供の歓声があちこつに残っているからね。